RedmineがIoT企業に異常にマッチしてしまった話
タスク管理してますか?(あいさつ)
みなさんは日頃どんなタスク・プロジェクト管理ツールを使っているでしょうか?
Backlog?Trello?Wunderlist?それともgithubのIssueで十分?カンバンほしいからZenhub?Waffle?変化球でProducteev?
僕も前職含めて上記含むすべてのツールを試してみました。
各タスク管理ツール所感
Trelloのガントない問題
ポンポンタスク登録できて便利。人のアサインも簡単だし。あ、でもこのタスクの粒度細かすぎない?依頼するときもされるときも細かすぎない?一つのリスト長すぎない?
あと標準でガントがないよね?全体見渡す側からすると不安(らしく)になっちゃうからやっぱりガントほしい。アサインできるの便利だけど、あぁでもこれボード6個くらいできちゃった。横断めんどい。どのボードもカードで溢れている。ガント追加してくれるサードパーティのプラグインがなんかイケてない。
Wunderlist
は、デザインかっこいい。でもなんか同期おかしい。でもデザインは一番かっこいい。
Backlogは好きです
前職の経験だとBacklogが良い線行ってる気がする。ガントも標準で引けるし、バーンダウンチャートも表示されて、タスクの消化頑張ると応援コメントくれるし、あぁでもなんか高くない?細かいところで融通利かないし。まぁでもデフォルトのユーザーアイコンが充実しているのよかったな。でもそれくらいかな?
githubはソフトウェアエンジニアためのもの過ぎる
Zenhub見つけたときは感動しましたよね。なにこれ普通にgithub表示しているのに、色々拡張が増えてる。カンバン最高。すごい管理している感じ。あ、でもgithubのリポジトリにCSの人入れたい。でもこのためにgithubのアカウントつくってもらうの微妙だなぁ。。。read権限だとソースコードみれちゃうよね?じゃあ横断的なリポジトリつくってソース無しIssues運用?あ、でもちょっと待ってこれ同じプロジェクトのリポジトリ二つ作るってこと?え?全体で一つでいい?それなんて神リポジトリ?
あとハードのチームはgithub使いませんから。どうやって統合的なタスクを設定する?まぁいいか、とりあえずソフトチームはIssue使って管理して、全体のタスクリストと二重管理するかぁ。
Excel方眼紙改めSpreadsheet方眼紙最強説
で、結局SpreadSheet方眼紙でつくったガントチャートが幅を利かせてきて、すぐ編集できるし柔軟性も高いしこれでいいじゃん。同時編集もできるしね。ってなるけど、あれ自分のタスクってどれくらいだっけ?誰がどれだけ大変になってる?一瞬だけフィルタ使っていい?あ、ごめん消したわけじゃないよ、今戻すね、みたいな。粒度も細かくすると定例伸びるし。あれ、このタスクこんなに簡単に伸びていいんだっけ?逆に編集し易す過ぎない?
課題の議論が流れるSlack
お疲れ様です。ちょっと相談していいですか?え、要件と一緒に書け?すいませんでした。
例の追加機能の件なのですが、これってどうなってます?あ、別の話題が投下された。それ別チャンネルじゃだめ?あ、でも確かにこのチャンネルの話題ではある。githubのIssueで議論しません?あ、アカウントないですよね。そうですよね。。。
そういえばこの前Slackで言っていた件なのですが(・・・)え、なんのこと?って感じです?ちょっと待ってください、今投稿したメッセージ検索するんで(・・・)あれ、なかなか出てこない。すいません、依頼しなおします。今度からスターつけてください(あ、でも自分も使いこなせてないなぁ)。
IoT企業特有の問題
1. タスクが複数の開発レイヤーにまたがりまくる
例えば「Akerunで鍵を解錠する」ってタスクの場合には、
- メカ: 鍵(正確にはドア内側サムターン)に取り付けるアタッチメントおよびメカ・筐体開発
- エレキ: モーターの制御および、指示をBluetoothで受け取るための電子回路開発
- ファームウェア: 電子回路操作とBluetoothの通信インターフェースを制御するためのファームウェア開発
- スマフォアプリ: Bluetooth通信機器とインターネットを中継するスマフォアプリ開発
- サーバーサイド: スマフォアプリから来た電子回路・ファームウェアの内部情報(バイナリデータ)の復号・解析、ユーザー操作のためのWebAPI開発
- デザイン: 他統合的なハードウェアおよびスマフォ・ブラウザのUX・UIデザイン
- CS: 出荷後のCSお問い合わせ案件対応
メカの形状によってデザインとスマフォアプリのフローが影響を受ける。ハードの出荷数がサーバーのパフォーマンスに影響する。 スケジュールや予算の関係でハード側で問題を収束できなかった場合に、ソフトウェアで解決する必要がある。他。
※全般的な部分だと追加でビジネス・ロジスティクス・工場での製造・・・
2. お問い合わせ対応も横断的
ファームウェアで起きた問題の原因がWebAPIにある可能性がある。電子回路の値の補正をWebAPIでやらないといけない。 などレイヤーまたがるのは当然として、レイヤーが一つ飛びで問題が起こっている可能性がある。 CSからの報告も複数レイヤーにまたがっていることが多い。担当が誰にアサインすればいいか迷う。大抵はユーザーとのインターフェースをもつ上のレイヤーのチームに集中するが、調べるうちに下のレイヤーに調査が移行していくことが多い。
3. ハードとソフトで開発サイクルが違い過ぎる
ハードはほぼ完全なウォーターフォール。ソフトはWeb側に行くほどほぼ完全なアジャイル。 ハードだとつくったらもうほぼ変更ができないので、一度出荷したあとは後戻りできない。 試作中は何度かサイクルを回すけど多くて3回できればいいくらい。一度の試作で1ヶ月から数ヶ月はかかる。 特にファームウェアは基板やパーツが変わるとドライバーや制御など書き直しになる。 Webに近いソフトは常に小出しで開発・改善を行っていくが、ハードが小出しじゃない場合には、できるまで待つ必要があるなどアジャイルっぽく動けないことがある。
そこでRedmineですよ!!
Redmineの良い点は色々ありますが、うちみたいなIoT企業だとRedmineのメリットは甚だ強力です。 以下にRedmineのメリットをまとめます。
1. 気軽に横断的なプロジェクトがつくれる、そこに小さいプロジェクトをネストできる
プロジェクトの作成が課金もなくゼロコストなので、心理的な障壁なくプロジェクトをつくれます。 また、子プロジェクトをつくれるので、一つのプロジェクトにごちゃごちゃにタスクが積まれることも、細分化されたプロジェクトを巡回する必要もないです。 見渡したいときは親プロジェクトを見て、単一レイヤーで独立しているタスクは子プロジェクトに追加すればいいのです。
また子プロジェクトなら親プロジェクトのルールやユーザーを継承できるので、作成のたびにわざわざ管理画面でポチポチする必要もありません。
ユーザーの追加も無限にやっても課金されないし、個人のメアドやSNSアカウントに紐付いてないクリーンなものをつくれるので管理しやすいし、情報セキュリティ的にも安心です。管理者側でアカウントをつくって、アクセス情報を渡してすぐに運用開始できます。
これで横断的なプロジェクトにそれに属する非エンジニアの人含めて気軽に追加・運用開始できます。
Slackでしていた議論も即Redmine化されるような風土ができつつあるので、特にファームウェアからWebAPI書いているチームまでは連携がかなり強いので重宝しているようです。
2. ガントチャートが標準でついている
複数人・複数レイヤーで開発しているとやっぱりガントが欲しくなります。 Redmineには標準でついてきます。しかも進捗と連動しているので、どこまで終わっているのか?順調なのかも見やすいです。
また簡単にマウスで期限を伸ばすなどもできないし、変更したら履歴も残りますので〆切を守るという緊張感も上がると思います(Spreadsheetよりは)。
3. カンバンのプラグインも充実している
昔は知りませんが今はTrelloみたいないい感じのUIのカンバンツールがRedmineのPluginとして提供されています。 Trello以上かも。カードのドラッグアンドドロップもできるのと、人のアサインもドラッグアンドドロップなのは他のツールにもないGood UIだと思います。 しかも全プロジェクトを横断したカンバンの表示にも対応してます。Trelloだとボードに階層の概念がないので、横断的に自分のタスクを知るのは大変だと思いますが、これなら各プロジェクトを舐める必要がないです。
正直かなり便利です。
これならZenhubやWaffleが好きっていうWebエンジニアも乗り換えるメリットを感じてくれるかもしれません。
4. 当然ソースをいじって自分たちなりのカスタマイズができる
最初導入したときは「注記」ってなぞの単語が気に食わなかったのですが、そういえば自分でいじって直せるなということで、ロケールのyamlいじって全部「コメント」に変更しちゃいました。
またチケット画面で「編集」をクリックすると、なぜか注記に飛ぶ仕様も気持ち悪かったので、チケットの説明の方にフォーカスが当たるようにしました。 また注記を編集するときは専用のボタンを追加しました。
これだけで結構便利ですがプラグインも充実していて、githubのIssueみたいに@でメンションできるようにしたり、Emoticonを使えるようにしたりと日々色々改造しながら使っています。
まとめ
導入するときは「えぇ、Redmine?どうせ使いづらいんでしょ?」みたいな感じでしたが、導入してから非エンジニアからも「これ、いいですね」と言われるようになり、複数レイヤーまたがるIssueも心理障壁少なく簡単に登録できるようになったので、大変満足しています。
ただここで大事なことを言っておくと、やはり導入にはRedmineエバンジェリストみたいな人が必要がだと思います。 正直いなかったらやってなかったですね。今は調整しつつめざせSpreadSheet撲滅という感じです。
お約束
フォトシンスではメカ・エレキ・ファームウェア・スマフォアプリ・サーバーサイドすべてを内製しています。 Webだけではつまらないと思い始めているエンジニアの人は是非弊社に見学に来ませんか? 応募お待ちしております。